起訴・逮捕

検察庁から呼び出し・逮捕

検察庁から呼び出しを受けたが、心当たりはありません。

 参考人と被疑者

検察官は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、関係者の出頭を求めることができます。

検察庁からの呼び出しは、起訴・不起訴のいずれにするかの決定のため、事情を聴くのが目的です。

ところで、検察官が出頭を求める関係者は、犯罪の容疑がある被疑者だけではなく、被害者の場合もあるし、目撃者など事件に関係のある知識や体験をもっていると思われる参考人の場合もあります。

検察庁からの呼び出しを受けたあなたに、呼び出されるような心当たりがないときは、呼び出し通知(通常はハガキか電話)で出頭先とされている担当検察官に電話して、呼び出しされる理由を問い合わせてください。

また、呼び出しに応じて出頭するかどうかは、あなたの自由ですから、あなたからの問い合わせに、きちんとした説明がしてもらえないときや、仕事その他の都合で時間のやりくりがつかない場合は、指定された日時には出頭できないということを、はっきと伝えておきましょう。

日程上の都合で出頭できないときは、あなたの差し支えない出頭日時が、改めて指定されます。

入院など健康上の理由で、検察庁への出頭が難しいときは、検察官又は検察事務官が、あなたからの事情を聴くため出張して、あなたのいる場所まで来てくれます。

ですから、検察庁への呼び出しがあったからというだけで、不安に思う必要はありません。それでも心配でしたら、弁護士に相談し、アドバイスを受けて対応すれば大丈夫です。

突然夫が逮捕されました。どうしたらいいですか。

当番弁護士・私選弁護人・国選弁護人

1 家族が逮捕された場合は、気も動転しがちですが、まずは落ち着くことが大事です。

それから、警察へ電話して、次のことを確認しましょう。

① 面会ができるかどうか。できる場合は、その時間。

② 差し入れが出来るかどうか。できる場合は、その範囲と方法。

2 そして、できるだけ早めに警察へ行きましょう。
面会が可能ならご主人と面会し、家の方は心配ないということなどを伝えてあげてください。
そして、許可があれば、衣類やお金を差し入れます。

ご主人との面会ができなくても、警察の担当者に会って、逮捕された犯罪事実の内容と罪名の確認は、必ず行ってください。

3 その確認ができたら、早急に弁護士を要請し、ご主人との接見(面会)を実施してもらう必要があります。
弁護士の要請は、逮捕された本人だけでなく、その家族も行えます。

4 ご自分で思い当たる弁護士がいないときは、当番弁護士制度を利用しましょう。
当番弁護士制度は、各地の弁護士会が運営していますから、弁護士会に電話して当番弁護士を派遣してもらいます。

当番弁護士は、1回だけ無料で、逮捕されている人の所へ面会に行きます。
当番弁護士は、本人の疑問に答え、今後の手続きの流れとか被疑者に保障されている権利について説明し、法的なアドバイスをしてくれます。

5 当番弁護士との面会により、そのまま正式に弁護活動してもらうように依頼することもできます。
その場合は、「私選弁護人」となるので、費用がかかります。
早い段階で弁護人を選任すれば、その事案に即した弁護活動を直ちに開始してもらえます。
たとえば、被害者のいる事件であれば、早期に被害者との示談交渉を進めてもらうことができます。

6 弁護士費用の点でご心配の方は、国選弁護人制度や日弁連の援助制度を利用する方法もありますから、ご安心ください。

国選弁護人は、私選弁護人を依頼するのに経済的余裕がない人のため、国のお金で弁護人をつける制度です。

援助制度は、国選弁護の対象になっていない犯罪で身柄を拘束されている人に経済的余裕がない場合、本人の申し出に基づいて日弁連が弁護士費用を援助する制度です。

保釈

身柄を勾留された状態で起訴された被告人は、裁判所に保釈を請求することができます。

保釈の請求があると、①死刑、無期、短期1年以上の懲役又は禁固に当たる罪を犯した人、②以前に長期10年を超える罪で有罪判決を受けたことがある人、③常習犯の人、④証拠隠滅の疑いがある人などの例外を除き、裁判所は保釈を許可しなければいけないことになっています(刑事訴訟法89条)。

このように、刑訴法上は請求すれば原則として許可される規定になっているため、権利保釈とも必要的保釈とも呼ばれています。

公判前の保釈はなかなか認めてもらえません

しかし、実務では、公判期日が開かれる前の保釈請求は、そのほとんどは却下されます。

その根拠として、上記④の証拠を隠滅する疑いがあり、⑤被害者その他審判に必要な知識を有する者又はその親族を畏怖させる行為をする疑いがあることを列挙して、却下されます。

権利保釈の対象となる事件でも、公判期日が開かれ、主要な証拠の取り調べが終わってからですと、ようやく上記④と⑤の疑いが解消されたとして、保釈が認めれるのが現実です。刑訴法89条は空文化しているというのが実感です。

保釈申請却下決定に対する異議申立

逮捕された犯人が取り調べの結果、起訴相当と判断されて裁判所に検察官が起訴すると弁護人は裁判所に保釈申請をすることができます。

これは裁判所に保釈金を積んで勾留されている場所(警察や拘置所)から一旦家等に戻り、家等から指定された日時に裁判所に毎回出頭して最終の判決がでるまで裁判に出続けるというものです。

保釈申請は、検察官の意見を聞いたうえで裁判官が保釈申請を認めるか否かの判断をします。

証拠隠滅のおそれなどがあると判断されると保釈は却下されます。

これに対しては弁護人から異議の申し立て(準抗告と言います)ができます。

経験では保釈が却下になっても準抗告で保釈が認められるケースが増えているように思います。

微妙なケースでは保釈却下で諦めずに準抗告してみることも大切だと思います。

保釈をしてほしいが、保釈金の準備ができません。

保釈金の立替制度

刑事事件で起訴され身柄を拘束(勾留)されたままの被告人は、裁判所から保釈が許可されると釈放されます。

保釈には、制限住居が指定され、事件関係者への働きかけ禁止とか、指定された公判期日への出頭など、いくつか守らなければならない条件が付けられます。
これらの条件に違反すると保釈が取り消され、再び身柄が拘束(勾留)されます。

保釈には、被告人が逃げ隠れ(逃亡)しないことを担保するための保証金が定められます。
この保証金を保釈金ともいいます。
保釈金の額は、勾留されている罪の軽重や被告人が逃げ隠れする度合、資力などを総合して判断されます。

保釈金は、被告人が保釈の条件を守って裁判が終われば、有罪か無罪か、実刑か執行猶予かを問わず返還されます。しかし、保釈の条件に違反すると、保釈が取り消され、保釈金は没取されるので戻ってきません。

あなたの身内や親しい知人のために保釈を取ってやりたいが、保釈金の準備ができない場合でも、あきらめないでください。
一般社団法人日本保釈支援協会が行っている保釈金の立替制度を利用すれば、保釈を得ることができます。
この支援協会には被告人の親族や友人、勤務先の雇い主とか同僚も立替金支援の申込人になれます。
ただ、支援協会との立替金支援契約には、弁護人に協力してもらう必要があるので、担当の弁護人と打ち合わせて、準備を進めてください。

支援協会からの立替金は500万円が上限です。
支援が決定すると、立替金が協会から担当弁護人の口座に振り込まれてきます。
弁護人は、速やかにこのお金を裁判所へ保釈金として納付します。
納付が済むと、裁判所から対応する検察庁へ直ちに通報されます。
これを受けた検察官は、被告人が身柄を拘束されている施設の長宛に「釈放指揮書」を発します。
指揮を受けた施設は、直ちに被告人を釈放します。

被告人が保釈の条件を守って裁判が終わると、保釈金が弁護人の口座に還付されますから、弁護人はこれを支援協会に振り込み、立替金の返済完了です。

被告人が保釈の条件に違反すると、保釈が取り消されることがあります。
その時は、保証金は没取され、戻ってきません。
そのため、保釈金で立替金の返済をすることができなくなり、返済義務を援助申込者が負うことになります。

取り調べの可視化

捜査の一つとして行われている被疑者の取り調べは、取調官と被疑者のみの密室で進められるため、無実の人が起訴されて裁判にかけられる冤罪を生む温床とも言われています。

そのため、取り調べ状況を録音・録画しておくことによって、裁判で自白の信用性が問題になったとき客観的に判断できる資料とすることの重要性が叫ばれ、その実施が徐々に進んでいます。

検察庁では、裁判員裁判の対象となる事件や検察庁が独自に捜査する事件を中心に、被疑者取り調べの全過程を録音・録画する可視化が既に実施されています。

警察庁の取りまとめでも、裁判員裁判の対象事件で逮捕後の全ての取り調べ状況を可視化した件数の割合は、平成26年度が17・6%に過ぎなかったのに、平成27年度は全対象事件の48・6%と大幅に上昇しています。大きく前進したとはいえ、未だ半数に達していません。

衆議院では平成27年に可決されていますが継続審議となり、参議院で審議されている刑事司法改革関連法案が成立すれば、3年後には裁判員裁判の対象事件は、原則として逮捕後の取り調べ全過程を録音・録画によって可視化することが義務付けられます。

これによって、怒号や罠にはめるような取り調べが無くなり、透明性のある捜査によって冤罪の発生が一掃されることを期待したいものです。

勾留

罪を犯して逮捕されると、そのほとんどの人は逮捕に続いて勾留され、身体の自由を奪われた状態が続きます。

勾留は、起訴前の被疑者段階であれば、検察官の請求に基づいて裁判官が決定します。

しかし、その中には被疑者の身柄を拘束しておく理由がないのに勾留されているケースもあります。

勾留決定を不服

理由もないのに身柄を拘束されている被疑者が、勾留から解放されて自宅に戻ることができる手続としては、勾留決定を不服とする準抗告を弁護人が申し立て、この申立てが認められれば勾留が取消され、被疑者は釈放されます。

勾留決定に対する準抗告を申立てる弁護人は、被疑者がどのような理由で勾留されているのかを把握する必要があります。勾留状に記載されている勾留の理由は、刑事訴訟法の条文に書いてある表現だけですから具体的な理由までは分かりません。

勾留理由開示

裁判官から公開の法廷で、勾留の理由を説明してもらう手続として、勾留理由開示というのがあります。

憲法34条には、「何人も、正当な理由がなければ拘禁されず、要求があれば、その理由は、直ちに本人及びその弁護人の出席する公開の法廷で示されなければならない。」とあります。

ですから、被疑者・被告人にとって、この勾留理由開示の手続きは、憲法に基づく重要な権利です。

では、実際の勾留理由開示は、どのように行われるのでしょうか?

勾留されている被疑者・被告人本人とその弁護人は出席します。

検察官は出席できますが、その義務まではありません。

勾留の理由を説明する裁判官は、出席して裁判官席に着かなければ話になりません。
この手続きは公開の法廷で行われますから、誰でも自由に傍聴することができます。

さて、この手続きで裁判官から説明される勾留理由の中身ですが、ほとんどの場合は、「一件記録から、被疑者が罪を犯したと疑うに足りる相当な理由があります。また、被疑者が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由、逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があると認められます。」と言うだけです。

これでは、何をもって罪証を隠滅すると疑うのか、何故に逃亡し又は逃亡すると疑うのか、何ら理由を開示していないに等しいのが実情です。

これに対し、勾留理由開示手続の中で、被疑者・被告人とその弁護人は、それぞれ意見を述べることができますが、その時間は10分までとされています。

勾留理由開示にはメリット

このように見ていくと、勾留理由開示を請求しても、さほどの効果は期待できない、という感想をもつ人もあるかと思います。

しかし、それでも弁護人としては、被疑者本人や家族に対して、勾留理由開示手続があることは説明すべきです。

そして、被疑者やその家族が希望する限りは、この手続を請求すべきです。なぜならば、被疑者・被告人にとって勾留理由開示は、メリットがあってもデメリットがないからです。

勾留理由開示手続には、次のようなメリットがあります。

1 準抗告を申し立てるときのヒントが得られることがある。

2 この手続で一件記録が裁判所へ提出されるため、捜査機関への牽制になることがある。

3 被疑者の意見陳述は裁判官の前での自由な発言ですから証拠としての値打ちが高まる。

4 その後の取調官から虚偽の自白調書を作られるのを防止できることに役立つことがある。

5 公開の法廷で、被疑者と家族などが相互に元気な姿を確かめることができる。

6 連日の身柄拘束状態から、一時的とはいえ、被疑者に自由な解放感を味わってもらえる。

警察でDNA型の採取に同意を求められたら

警察は、被疑者の指紋を採取するとき、DNA型の鑑定に使う口腔内粘液を綿棒で採取することの同意を求めてきます。

DNA型は、指紋と並んで一人一人微妙に違うのと、生涯変わらないから、ヒトの同一性を識別する優れた証拠に利用できるためです。

指紋や足型の採取は、身体を拘束されている被疑者の場合は、刑事訴訟法218条3項に規定があるので、判官の発する身体検査令状がなくても強制的に行えます。

しかし、DNA型の採取についてはそのような規定がありません。

提出者が任意に応じない限り、身体検査令状を示さなければ行えません。

例えば、万引きの現行犯で警察に通報されたとします。

その場合でも逮捕されていなければ、指紋の採取に応じるかどうかは任意であり、強制的に指紋を採ることは違法です。

ましてや、DNA型となると、万引き事件の犯人特定には関係のないことですから、身体検査令状を請求しても裁判官が却下すると思われます。

交通事故の場合でも同様ですが、警察官から求められると、指紋だけでなくDNA型の採取も仕方がないと思って、応じる人が殆どです。

DNA型は重要な個人のプライバシーです。口腔内粘液の採取に応じるかどうかは、本人の自由意思ですから、提出を求められても拒否できます。

不起訴になった事件の際に採取されたDNA型の記録が、その後の別事件で犯人を特定するための証拠として利用されるケースがありますから、簡単に応じるべきではありません。