少年事件

少年事件

高校生の息子が友達に怪我をさせました。どうすればいいの?

少年事件の手続きの流れ

単発的な非行であれば、まず、何があったのか事実関係を丁寧にお子さんから聞き出すことです。
頭ごなしに叱ったり、きつい言葉での問い詰めでは、なかなか真実を語ってくれません。

子ども自身がその行為のとき、どのような気持ちを持っていたかを丁寧に聞くことが大切です。
息子さんは高校生ですから、良いことと悪いことの区別はついているはずです。
そのことについて、子ども自身から話させていけば、親の評価を押し付けなくても、十分に効果は上がます。

なお、軽い気持ちから起きた非行の場合でも、親が安易に「たいしたことではない。」という態度をとるのは、お子さんに同じことを繰り返させないためには、好ましくありません。

事実関係を把握できたら、次にしなければならないのは、被害者方へのお詫びです。
それも、あまり日を置かず早い方がいいでしょう。
その際、出来れば先方のご都合を確かめてお訪ねするのが礼儀ですね。
怪我の程度によっては、お見舞いの果物などを持参した方がいい場合もあります。

友達に怪我させても、すべての事件が警察沙汰になる訳ではありません。
父母や学校の先生、地域の人たちの指導で一過性に終わる軽い非行は、そうした関係者の間で適切な処置がとられ、警察沙汰にもならずに済むのが普通ですし、その方が望ましいことが多いでしょう。

被害届が出されたりすると、警察の捜査が始まります。
少年事件は、大人の場合と違い処罰が目的ではありません。
少年の心や取り巻く環境を改善し、少年の立ち直りを図るのを目的に手続きが進められます。

少年事件は、捜査、家庭裁判所への送致、調査、審判、処分、処遇という流れをたどります。
これら一連の手続きが少年の身柄を拘束して進められる場合を「身柄事件」、身柄を拘束しない場合を「在宅事件」といいます。

在宅事件は、従来どおり学校にも通学しながら、呼び出された場所へ出頭することになります。
身柄事件については、次の「鑑別所と少年院はどう違うの?」をご覧ください。

なお、少年についても、在宅・身柄事件の如何を問わないで、どの手続き段階でも弁護士に依頼して、弁護人(捜査段階)、付添人(家裁送致後)を選任することができます。

少年鑑別所と少年院はどう違うの?

身柄拘束の少年審判

鑑別所は、正式な呼び方を少年鑑別所といいます。

家庭裁判所での少年審判を行う前に、少年の非行性や性格などを鑑別(分析)するための施設です。

鑑別所に入所してから、処分が決まる少年審判までの収容期間は、だいたい4週間以内(最大8週間)です。

鑑別所では、少年との面接や、各種のテストを実施し、作文を書かせ、所内での行動(自室の掃除とか整理整頓ぶりなど)を観察します。

このように調査・診断を行うことで、少年が非行に走った原因を把握し、今後どうすれば少年が更生できるかを探り出します。
鑑定結果は書面の形で家庭裁判所に提出されます。

また、少年が鑑別所にいる間は、家庭裁判所の調査官も、鑑別所に何回か行って少年と面接します。

家裁調査官との面接内容は、少年審判の際に非常に重要な調査結果が報告書の形で、少年審判を担当する裁判官に提出されます。

つまり、家裁調査官との面接、鑑別所内での生活態度や心理テストなどの結果が、少年院に入るか入らないかを決めるケースが多いようです。

家庭裁判所では、警察や検察庁での取調べ・被害者との示談状況・家庭環境や交友関係の調査・少年自身の問題性や反省度など色々の事情を総合して少年審判が行われます。審判によって、社会での更生(立ち直り)に期待できると判断されれば、保護観察(ときには不処分)になり、難しいと判断された場合は、少年院に送致されます。

何回も少年院送致を繰り返した少年とか、年長少年で重い罪を犯した少年については、大人と同じように刑事裁判が相当だと判断されて、検察官への送致が決定される場合もあります。

少年院は、鑑別結果などから「社会生活での立ち直りは難しい」と判断された少年を、社会生活に適応させるために矯正教育をする施設です。

非行度合が進んでいる少年を収容する少年院は規律が厳しいのが一般的です。
しかし、少年院送致は、刑罰ではありませんから前科もつきません。

これに対し、鑑別所は、矯正施設ではなく、あくまで少年に対する理解を深める鑑別(分析・調査)のための施設です。

職員も親切でご飯もおいしく、毎日の生活はかなり過ごしやすい日課になっています。

息子・娘さんや彼氏・彼女が鑑別所に収容されると、色々ご心配されると思いますが、面会にも行けますから、それほど心配しなくても大丈夫です。

少年法と少年鑑別所法が成立しました。

2014年6月4日、参議院本会議で新しい少年院法と少年鑑別所法が、全員一致で可決され成立しました。

新しく成立した二法は、施設運営の透明化を促進することを主な柱にしています。

新法では職員に少年の身体検査や拘束を認める要件を明記した点です。

また、弁護士など第三者の有識者で構成される「視察委員会」が定期的に施設を訪問し、調査を実施した上、改善点を施設に勧告します。

それから、少年本人が、書面によって法務大臣に救済を申し立てる制度も設けられました。

少年法が改正(2014年4月)

少年法が改正されました。今まで殺人などの事件を犯した18歳未満の少年には最高でも15年の懲役判決しか言い渡せませんでしたが、20年の懲役判決を言い渡せるようになりました。

また今まで国選付添人は殺人や強盗などの重大事件にしかつけられませんでしたが、今後は傷害や窃盗でも国選付添人がつけられることになります(担当する家庭裁判所が判断することになります)。

更に家裁が適切な事実判断を行うために検察官の立ち会いを求める検察官関与制度の対象事件も傷害や窃盗に拡大されました。少年事件も大人の刑事事件のように手続きが徐々に変わってきています。

更生保護施設の役割

罪を犯した人や非行のある少年の中には、頼る人がいなかったりで、すぐ自立更生するのは難しい人もいます。釈放されても行く所のない人です。

そのような人を一定の期間受け入れて保護し、再犯防止の目的で入所者に宿泊場所や食事の提供をするとともに、社会復帰を果たすため必要な指導や援助をする所があります。それが更生保護施設です。

更生保護施設は地方自治体でも設置・運営できますが、現在は全て民間の更生保護法人が法務大臣の認可を受けて設置しています。

このような施設は全国に104施設あり、愛知県には6施設が設置されています。どの県にも1か所は必ずあります。

施設は、国(保護観察所長)からの更生保護委託によって、本人を受け入れ保護を開始します。法定入所期間は最大6か月ですが、保護観察所は、本人の所持金や就労状況を把握して委託期間や退所日を決めます。実情は最短2か月、平均3.4か月、まれに法定の6か月少しを超える例もあります。

更生保護に必要な経費は、そのほとんどが国からの保護委託費で賄われています。つまり納税者が負担していることになります

少年の蘇生は家族の愛情からです。

付添人を担当していた少年の審判がありました。1か月あまり前に面会した頃は、斜めに構えていきがり、親にも反発的なところがありました。

しかし、少年が鑑別所での生活を過ごす間に、毎日面会に来てくれた母親。

付添人と一緒に被害者の所へ謝罪に訪れ、余裕のない中から被害弁償をしてくれた父親。手紙で兄の帰りを待ちわび、家族団らんの夕食ができる日を楽しみにしている弟。

高校を中退し、家庭にも寄り付こうとしなかった少年の荒んだ心に、家族の愛情は乾燥した大地に注ぐ雨のように吸い込まれ、少年を見事に蘇生させました。

鑑別所に入れられたことを他人のせいにしていた少年ですが、昨日の審判では、裁判官に「鑑別所に入れてもらい、本当の自分を取り戻すことができました。ありがとうございます。」と、感謝の言葉を述べるまでに変化しました。

審判の結果は保護観察でした。両親の腕に戻された少年は、「先生、もう俺は大丈夫です。お世話になりました。」と言い残して父親の車に乗り込んでいきました。