dv

DV被害

DV防止法

交際相手からのDVと言われている暴力には、交際相手からの精神的暴力、身体的暴力、性的暴力、経済的暴力のすべてが含まれます。婚姻関係があるかどうかが違うだけで、その範囲は配偶者間の暴力と同じです。

配偶者からの暴力(ドメスティック・バイオレンス=DV)に係る通報、相談、保護、自立支援の体制を整備し、配偶者からの暴力を防止するとともに被害者の保護を図る目的で、平成13年に「配偶者暴力防止法」が施行されました。

この法律は、通称「DV防止法」と呼ばれ、何度かの改正を重ねて、次第に対象範囲が拡大され、平成26年1月3日から施行される改正法は、「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」と名称を変更しました。

この新DV防止法が施行された平成26年1月3日からは、婚姻関係がなくても、交際相手と同居している人、または同居していた期間がある人は、DV防止法による保護を受けることができます。

交際相手と同居していた人のDV被害

平成26年1月3日以降は、新しく改正されたDV防止法が適用され、配偶者には、「婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者」(いわゆる事実婚の状態にある者)も含まれます。

また、離婚後(事実婚解消後)または婚姻取り消し後であっても、配偶者であった者から引き続き更なる暴力を受ける恐れが大きい場合は、保護命令の対象になります。

このように、婚姻関係がなくても、交際相手と同居しているか、同居していた時期がある場合は、新しいDV防止法の適用を受けるので、被害者は、次のように保護されます。
しかし、単なる恋人からの暴力は保護命令の対象にはなりません。

(1)   一時保護の措置を受けて、施設等へ避難することができます。

この一時保護措置は、都道府県の配偶者暴力相談支援センターが行っています。支援センターに通報して避難場所の提供を受けたり、その後の自立支援を受けたりします。

なお、配偶者暴力相談支援センターは、一見すると施設の名称のようですが、施設の名称ではなく、機能の名称です。一般的には各都道府県の婦人相談所などが支援センターの機能を果たしています。

(2)   裁判所に保護命令の申し立てをすることができます。

被害者からの申立を受けた地方裁判所が、接近禁止命令や退去命令を加害者に発令します。保護命令の対象は、配偶者からの身体に対する不法な攻撃であって、生命又は身体に危害を及ぼす暴力です。そのため、精神的暴力は保護命令の対象になりません。

この保護命令に違反すると1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科せられます。

交際相手と同居したことがない人どんな場合がDVになるの

交際相手と同居したことがない場合は、改正前と同じでDV防止法は適用されません。しかし、このような人も、ストーカー規制法の適用を受けます。

交際相手と同居した期間がない場合は、平成26年1月3日から施行される新DV防止法は適用されませんから、法改正の前後を通じて同じです。しかし、ストーカー規制法は適用されます。

交際相手からの暴力などが、ストーカー規制法の「つきまとい等」に当てはまり、これが繰り返されるおそれがあるときは、警察署長による警告が発せられます。

この警告に従わず、ストーカー行為を続ける加害者に対しては、公安委員会による禁止命令が発せられます。

禁止命令に違反してストーカー行為をした者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられます。

禁止命令の違反がなくても、ストーカー行為をした者は、被害者からの告訴がある場合、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられます。(この場合は、被害者の告訴がなければ処罰できない親告罪とされています。)

DV被害を受けているときの相談先

DVの被害を受けているときは、法律の適用があるかないかなどと考えている場合ではありません。

直ちに警察の生活安全課に相談して、保護を求めましょう。

急を要する場合は、被害届や告訴を提出しましょう。

それと同時に、執拗な交際相手から避難して、身の安全を確保しなければならないときは、都道府県の配偶者暴力相談センター(多くの県では婦人相談所が支援センターの機能を果たしている)などに連絡し、一時保護の措置を受けて、取り返しのつかない事態になる前に施設等への避難をすることが最優先です。

DV防止法の適用がないときでも、身の危険が迫っている場合は、シェルターなど身を隠す避難場所を探すのを手伝ってもらえることもありますから、最寄りの警察署か婦人相談所に相談することが大切です。

DV事件における警察への相談

警察にDVの相談をした場合、警察は「配偶者からの暴力相談等対応票」を作成します。

配偶者が裁判所にDVに基づく保護命令の申し立てをした場合、警察が作成した「対応票」が裁判所に提出されます(DV防止法14条2項)。

なお、裁判所は必要があればさらに警察に説明を求める等をして(DV防止法14条3項)、迅速かつ適切に保護命令を発令できます。
早期の対応が重大事件の防止にもなります。

DV被害者の保護にはこんな種類が

平成26年1月3日以降は、婚姻関係がなくても交際相手と同居していた人にも改正DV防止法が適用されます。改正法によって、被害者は次のような保護を受けることができるようになりました。

(1)   一時保護

一時保護は、被害者の意思に基づいて、適当な寄宿先がなく被害が及ぶことを防ぐため、緊急の保護を必要と認められる場合、短期間の生活支援が有効である場合などに、配偶者暴力相談支援センターが行う措置です。

また、一時保護に続いてその後の自立支援も、各都道府県にある婦人相談所などが支援センターの機能を果たしています。

(2)   保護命令

保護命令の申立てをする前には、必ず次のいずれかを先にしておく必要があります。

配偶者暴力相談支援センター又は警察に相談し、又は援助もしくは保護を求めること。
配偶者からの暴力を受けた事情に関する被害者の供述を記載した書面について、公証人による認証を受けること

実際には、公証人の認証を受けるには費用がかかるため、前者の方法を取るのが一般的です。

被害者が配偶者(同居していた交際相手を含む、以下同じ。)から身体に対する暴力を受けたたり、生命等に対する脅迫を受けたことがあり、配偶者からの更なる身体に対する暴力によってその生命又は身体に重大な危害を受けるおそれが大きいと認められるとき、裁判所が、当該配偶者に対して、速やかに保護命令を発令します。

この保護命令には次の5種類があり、必要に応じていくつかの命令を併せて出してもらうこともできます。

①   被害者への接近禁止命令

②   被害者への電話等禁止命令

③   被害者の子への接近禁止命令

④   被害者の親族等への接近禁止命令

⑤   退去命令

接近禁止命令(保護命令その1)

6か月間、被害者の住居(ただし、当該配偶者と共に生活の本拠としている住居は除かれる)その他の場所において、被害者の身辺につきまとい、又は被害者の住居、勤務先その他の通常所在する場所付近の徘徊を禁止する裁判です。

接近禁止命令の効果が減殺される恐れを避けるため、被害者への接近禁止命令に付帯して、次のような保護命令を申し立てることもできます。

①    被害者への電話等禁止命令

被害者への接近禁止期間中、面会の強要・行動監視の告知・粗野又は乱暴な言動・無言電話・連続電話・ファクシミリ送信・メール送信・汚物等の送付・名誉を害する事項の告知・性的恥辱心を害する事項の告知等をすべて禁止する裁判です。

②    被害者の子への接近禁止命令

被害者への接近禁止命令の期間中、被害者の同居している子の身辺につきまとい、又は通学する学校などその通常所在する場所の付近を徘徊してはならないことを命じる裁判です。

なお、15歳以上の子については、その子の同意がなければ、子への接近禁止命令を発令することはできません。

③    被害者の親族等への接近禁止命令

被害者への接近禁止命令の期間中、被害者の親族その他被害者と社会生活において密接な関係を有する者の身辺につきまとい、又はその通常所在する場所の付近を徘徊してはならないことを命じる裁判です。

これら①から③の保護命令は、それのみを独立して申し立てることはできませんから、必ず本体の被害者への接近禁止命令に付帯して申し立てる必要があります。

これらの保護命令に違反した者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられます。

退去命令(保護命令その2)

2か月間、被害者と共に生活の本拠としている住居から退去すること及びその住居付近を徘徊することを禁止する裁判です。

この保護命令は、被害者が避難先から衣類など生活に必要な物を安心して取りに戻り、配偶者からの暴力から逃れるために転居する時間を確保するための制度ですから、加害者が退去した後の住居に、引き続いて被害者が居住することを想定していません。

保護命令の申立についての裁判に対しては、申立が認められた場合は相手方から、却下の場合は申立人から、裁判の告知を受けて1週間以内に即時抗告することができます。この即時抗告期間内に即時抗告がなければ、保護命令の裁判は確定します。

保護命令は、加害者の自由を制約する裁判ですから、その必要性がなくなったときは、効力を継続させる意味がありません。そのため、保護命令の取消し制度が設けられています。

被害者が取消しの申立てをした場合は、無条件で取り消されます。加害者が取消し申立てをした場合は、接近禁止命令についてはその効力が生じてから3か月、退去命令については2週間が経過し、かつ、取消しについて被害者に異議がないことを確認できた場合に取り消されます。

保護命令に違反した者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられます。