なりすまし捜査の窃盗罪で無罪判決

Aさんが住む地域では、半年前から施錠されていない駐車中の車から現金などが盗まれる被害が相次いで発生したいました。

そのため、警察は地元に住んで土地勘のある人物の中に犯人がいると考え、Aさんに目を付けました。

警察が数名の捜査員を配置して、深夜にAさんの尾行を続けたところ、Aさんが自宅の近所で駐車してある車の内側を覗き込みながら徘徊する様子が観察されました。

Aさんを盗みの現行犯で逮捕する作戦を立てた警察は、ある日の未明に、Aさんが徘徊のとき通りかかる駐車場に鍵をかけていない軽トラックを駐車し、その助手席に発泡酒24本入り1箱とパンを乗せた状態で、付近に身を潜めた捜査員が張り込んで様子を見ていました。

やがて現れたAさんは、軽トラックの運転席ドアを開け、発泡酒の箱を両手で車の外へ持ち出しました。

見張っていた捜査員がAさんに声をかけ、その場でAさんを窃盗の現行犯で逮捕しました。

窃盗罪で起訴されたAさんは、公判でも発泡酒を盗んだ事実を認めました。

ところが、判決は「本件の捜査は任意捜査として許される範囲を逸脱しており、国家が犯罪を誘発し、捜査の公正を害するものとして違法である。」として、Aさんに無罪を言い渡しました。

(判例時報2324号107頁)

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