なぜ金塊の密輸入事件が頻発

金塊を我が国へ密輸入する事件が相次いで発生し、新聞やテレビでも金塊密輸に関連する報道を目にすることが増えています。

まだ記憶に新しいところでは、2016年7月8日福岡市の博多駅近くで、警察官の制服を着た4人組が貴金属販売会社に勤務する男性に「密輸品だろう。」と声をかけ、アタッシュケースに入っていた金塊160キロを奪い撮った事件が起きています。

この事件では、警察の地道な捜査によって犯人グループ10名が指名手配され、2017年5月29日までに逮捕されました。

今年になって大きく報道された事件としては、4月20日、福岡市の博多駅近くで金塊の購入資金として銀行から引き出したばかりの現金3億8400万円が強奪される事件が発生しました。
同じ4月20日、福岡空港で現金7億3500万円を所持して香港行きの飛行機に搭乗しようとした韓国人グループ4人が関税法違反(多額現金の無許可持ち出し)で逮捕される事件が起きました。その後の捜査で、この韓国人グループ4人は、今年4月13日に韓国から金塊6キロを日本へ密輸しようとした事件で再逮捕されたと報じられています。

最も近い事件としては、昨日(6月1日)、佐賀県唐津市の漁港で、金塊と思われる206キロ(10億円相当)を船に積んで密輸入したとして、佐賀県警などが犯人8名を逮捕した事件が報じられています。これが金塊だとすれば、平成27年に関西国際空港で押収された金の延べ板130キロを上回り、わが国での金密輸事件では過去最大の押収量です。

なぜ、このように金塊の密輸入事件が頻発するのでしょうか?

その背景には、日本での消費税を免れて利益を得るというカラクリがあるからです。

香港では金の取引に消費税がかからないし、ほとんど輸出規制がありません。

日本では外国から金を持ち込む輸入のとき8%の消費税を払う制度になっています。

そして、国内で金を買う人はこの消費税が加算された価格で金を購入します。

ところが、金の持ち込みを申告しないで密輸入し国内で売り捌けば、海外での購入価格どおりで売却しても消費税分を丸儲けできる仕組みなので、香港→韓国→福岡を結ぶ金塊密輸ルートができており、金の密輸事件が後を絶たないと指摘されています。

このような密輸事件を根絶するには、空港や海港での入国検査を厳重に実施して、「日本国内に金塊を密輸入しようとしても発覚するので儲からない。」という既成事実を積み重ねることが大切だと思います。

About Author

高橋寛

高橋寛

弁護士 高橋 寛(たかはしゆたか)
元検事・元公証人
【主に従事してきた分野】
刑事事件、税務訴訟、交通事故、離婚、相続、遺言、マンションの漏水事故、借地・借家などの事件に取り組んできました。
【著書(共著)】
空き家・空き地をめぐる法律実務(新日本法規出版)
【所属】
愛知県弁護士会所属、同弁護士会「子どもの権利委員会」所属、同弁護士会「人権擁護委員会」所属