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スマホでの動画自動撮影がストーカーになる場合

 最近のニュースの中に,動画自動撮影アプリをインストールしたスマホを、好意を寄せる相手の居室にセットし、相手の行動が自動撮影された動画を自分のスマホに転送して見ていた男が、「見張り行為などをしたストーカー行為」で逮捕されたという報道が目に止まりました。使われたアプリは、音や動きに反応して自動で動画を撮影することができ、本来はペットや子供の様子を外出先から確認する目的に使われるものです。

 ストーカー規制法第2条は、ストーカーに当たる行為を1号から8号まで掲げて規制の対象としています。その1号に「つきまとう」、「待ち伏せる」、「立ちふさがる」、「見張りをする」、「押しかける」、又は住居等の付近をみだりにうろつくことを挙げています
この中の「見張りをする」とは,住居・勤務先・学校その他・対象者が通常所在する場所の付近で見張る行為ですが,必ずしも肉眼で見張ることに限りません。少し離れた場所から双眼鏡で見張ったり、望遠レンズで動画を撮影することも、見張りをする行為に含まれます。報道によると、遠隔監視アプリを使った動画撮影にストーカー規制法を適用するのは、初めての案件だということです。

 日進月歩の通信技術に伴い、見張りをする方法も簡単に発見されないようにと、アレやコレやと手の込んだものが使われてくるようです。どのように目新しい方法が登場しても、それが対象者の動きを見張るために使われる方法であれば、ストーカー規制法で禁止されている違法行為になります。

つきまとい・待ち伏せは典型的なストーカー行為

法が規制の対象としているストーカー行為は、「つきまとい等」ですが、その種類は8種類あります。ストーカー規制法は、住居・勤務先・学校その他通常の所在場所でのつきまとい、待ち伏せ、進路立ちふさがり、見張り、押しかけを「つきまとい等」に該当する行為のトップに掲げています。やはり、これらが典型的なストーカー行為ということになりますね。

「つきまとい」は、被害者の後をつけたり、被害者の身辺に群がって立ち退こうとしないなど、被害者に不安又は迷惑を覚えさせるような仕方で、被害者につきまとうことです。

「待ち伏せ」は、文字どおり被害者の住居や勤務先など被害者が行き来する場所で、被害者に不安又は迷惑を覚えさせるような仕方で、被害者が現れるのを待ち構えることです。

「進路立ちふさがり」は、被害者が進む方向の前に立ち、被害者に不安を覚えさせるような仕方で、進路をふさぐ行為です。

「見張り」は、主に視覚等の感覚器官によって、被害者が不安又は迷惑を覚えるような方法で、一定時間継続的に被害者の動静を見守ることです。物陰から被害者の動静を監視する場合や、やや距離をおいた所から双眼鏡で見守りを続ける場合が、見張りに当たります。裁判例として、「被害者が在宅しているか否か、転居しているか否かなどを観察する行為が、被害者の住居付近で行われる場合は、被害者に対し、その住居の平穏が害され、行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるようなものであることは明らかである。」旨、判断されたものがあります。

「押しかけ」は、被害者が在宅しているかどうかを問わず、住居等の平穏が害されるような態様で行う訪問であって、社会通念上容認されないものを指します。裁判例として、「被告人が立ち入ったのは被害者の居住する集合住宅の被害者宅付近の通路であり、同所が被害者の住居そのものではないにしても、被害者の通常所在する場所に当たることは明らかであるから、被害者の意に反してその場所に立ち入った被告人の行為は、押しかけに該当する。」と、判断したものがあります。

ここで「相手方に不安又は迷惑を覚えさせるような仕方」について触れておきましょう。当該行為の時点で相手方がそれを認識しているかどうかを問わず、相手方が当該行為を認識した場合に、相手方に不安又は迷惑を覚えさせるようなものかどうかという観点から判断されます。

ストーカーにはどんな種類があるの

ストーカー規制法では、「つきまとい等」を「反復して」行い、その相手に「不安を覚えさせる」行為をストーカーに該当すると定めています。

なお、「誰が」「どのような目的で」については、別稿の「どんな加害者が法の規制を受けるの」を、「誰に対して」については、別稿の「規制法で保護してもらえるのはどんな人」のコーナーをご覧ください。

1 では、「つきまとい等」に該当するのはどのような行為でしょうか。ストーカー規制法は、次の8種類がこれに該当すると定めています。

➀ 住居、勤務先、学校その他通常の所在場所での付きまとい・待ち伏せ・進路立ちふさがり・見張り・押しかけ

②    監視している旨の告知

③    面会・交際・その他義務のないことを行うことの要求

④    著しく粗野な言動、著しく乱暴な言動

⑤    無言電話、連続した電話・ファックス・メール

⑥    汚物・動物の死体等の送付

⑦    名誉を害する事項の告知

⑧     性的恥辱心を害する事項の告知

これらの各種類の解説については、同じドットコムの各項目をご覧ください。

2   法の規制を受けるのは、上記行為を「反復して」行った場合です。二日前に連続して10回も「返事をください。」というメールがきた場合は、つきまとい等には当たりますが、二日前にあっただけで、昨日と今日は止んでいますから連続していても「反復して」とは言えないでしょう。

3 法が規制しているのは、つきまとい等をして、相手に「不安を覚えさせる」ことです。ストーカー規制法は、単なるつきまとい等を規制しているのではありません。相手が不安を感じない場合、たとえば相手も同意しているとか、さしたる痛痒も感じない場合までは、法で規制する必要がないからです。

どんな加害者が法の規制を受けるの

ストーカー行為等の規制に関する法律(ストーカー規制法)では、特定の者に対する恋愛感情その他の好意を感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的とする人の、つきまとい等の行為を規制の対象にしています。

通常は、男女の間で行われる「つきまとい行為等」がストーカー規制法の守備範囲ですが、同性愛にも適用されます。

上記以外の目的、たとえば、貸したお金を返してもらう目的でつきまとう人とか、夫の不倫相手の調査を妻から依頼された興信所の探偵が、夫の不倫相手の身元を調査する目的でターゲットを見張ったり追尾する行為は、規制法の対象にはならないのです。

年頃の若い人であれば、好きな人に逢いたくてその人がいそうな場所へ出かけたり、好きな人に何度もメールを送ったりしたことがあると思います。でも、相手の人が、あなたのことを嫌いでなければ、あなたをストーカーとは呼びませんね。

もし、あなたに逢いに来たり、メールを送ってくる人が、お付き合いを断らなければならない相手の場合は、あなたは、例えば前からお付き合いしている恋人がいるなど、きちんと理由を話してお断りしておくべきです。ストーカーを防ぐ一番の対策は、相手の行為がストーカー規制法に触れないうちに、相手に理解してもらうようにしておくことが最も大切です。

普通の人であれば、好意をいだくあなたからの誠意ある話に耳を傾けてくれるはずです。それが、お互いに傷つかず、恨みっこなしで双方の幸せを願いあえるのではないでしょうか。

交際相手と同居したことがない人どんな場合がDVになるの

交際相手と同居した期間がない場合は、平成26年1月3日から施行される新DV防止法は適用されませんから、法改正の前後を通じて同じです。しかし、ストーカー規制法は適用されます。

交際相手からの暴力などが、ストーカー規制法の「つきまとい等」に当てはまり、これが繰り返されるおそれがあるときは、警察署長による警告が発せられます。

この警告に従わず、ストーカー行為を続ける加害者に対しては、公安委員会による禁止命令が発せられます。

禁止命令に違反してストーカー行為をした者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられます。

禁止命令の違反がなくても、ストーカー行為をした者は、被害者からの告訴がある場合、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられます。(この場合は、被害者の告訴がなければ処罰できない親告罪とされています。)

なお、ストーカーについて詳しくしりたい方は、同じドットコムの「ストーカー相談コラム」のページをご覧ください。

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